
中国語の難しさを発音・文法・読解面から解説|短期習得のコツ
この記事でわかること
- 日本人は漢字の知識があるので、欧米人より中国語を勉強しやすい
- 中国語で難しいのは声調(四声)と独特の発音。文法は比較的シンプル
- 中国語学習初期は発音に集中し、段階的にステップアップしよう!

中国語に興味があります。難しいですか?



漢字が使われているから理解しやすそうな気がする一方で、見慣れない字体や、ずらりと並ぶ漢字の量に圧倒されてしまうこともありますよね。
さらに、文法や発音面の難しさも気になるところではないでしょうか?
この記事では、日本人にとっての中国語の難易度と攻略法を、英語との違いを交えながら分かりやすく解説します。
中国語学習への不安を解消し、明るい気持ちでスタートしましょう。
目次
日本人にとっての中国語の難しさ


私たち日本人にとっての中国語は、「発音は少し手ごわいけれど、読み書きはイージーモード」という特殊な言語です。
まずは、習得時間、発音、文法、読解の4つの側面から具体的に見ていきましょう。
【習得時間】日本人は英語圏の人より有利
アメリカの外交官養成機関(FSI)のデータによると、英語話者が中国語を習得するには約2,200時間*という膨大な時間が必要です。
しかし、ここで諦める必要はありません。
この数字には「漢字の形と意味をゼロから覚える時間」が含まれているからです。
すでに漢字を使いこなす日本人の場合、このプロセスを大幅にショートカットできるため、学習時間はもっと短く済みます。
ただし、短縮できるのはあくまで「読み書き」の時間です。
「会話」に関しては、私たちも彼らと同じように耳と口を鍛える時間が必要だという点は、最初に心に留めておきましょう。
【発音】声調や独特な音があり難しい
日本人が中国語学習で直面する大きな壁、それが「発音」です。



学習者の多くが「通じない」ことを経験し、心が折れてしまいがちです。



なぜこれほど難しいのでしょうか。
その正体は、中国語特有の「声調(四声)」というルールと、発音の種類の多さです。
日本語でも「雨(あめ)」と「飴(あめ)」でイントネーションが違いますが、中国語では全ての漢字にこの「声調」が存在します。


例えば「マ」という1つの音でも、高く伸ばせば「母」、低く抑えれば「馬」といった具合に、音程次第で意味がガラリと変わってしまうのです。
さらに、中国語には日本語にない発音が多数あり、自分では真似して言っているつもりでも、ネイティブには全く違うように聞こえてしまうことが珍しくありません。
自己流で練習を続け、間違った癖がついてしまうこともあります。
この発音を乗り切ることが、中国語学習における大きなポイントになります。
【文法】基本は比較的シンプル



中国語の基本文法は比較的シンプルです。
英語の「過去形」や「三単現のs」といった動詞の変化に苦労したことはありませんか?
中国語は主語が誰でも、いつの行動でも、疑問文でも、動詞そのものが変化することはありません。
単語を並べる順番さえ覚えれば、パズルのように文が作れてしまうのです。
基本の語順は英語と同じSVO(主語+動詞+目的語)ですが、英語とは違うルールもありますので、学習の際は英語の知識につられないようにしましょう。
◎ 中国語の基本文については別記事で詳しく解説しています。
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【単語・読解】漢字のアドバンテージで取り組みやすい
まったく中国語を学習したことがなくても、中国語の文は「なんとなく意味がわかる」ことがあります。
中国語と日本語は共通している単語が多く、例えば「大学生」「山」「日本」などは全く同じです。
また、中国本土では「簡体字」という簡略された漢字が使われますが、日本人なら意味を推測できることも多くあります。
◾️例:
- 图书馆(図書館)
- 学习(学習)
- 饭(飯)
読み方(発音)は覚える必要がありますが、他の外国語と違って「見ればわかる」という単語や文がすでにあるのは、取り組みやすいですよね。
ただし、同じ漢字でも意味が全く違う単語もあるので、そこだけは注意しましょう。
日本人が難しいと感じる中国語の発音


「読むのは意味が分かるけど、話すと全く通じない。」
これが、多くの日本人学習者が直面するジレンマです。
読み書きが得意な分、どうしても発音練習がおろそかになりがちですが、中国語の会話において発音は命です。



ここでは、日本人が特に苦戦しやすい「発音の壁」を具体的に見ていきましょう。
発音(1)音の高低で意味が変わる「声調」の難しさ
中国語学習における最大の難関が、「声調(せいちょう)」と呼ばれる音のルールです。
これは、音の高さや上がり下がりだけで単語の意味が完全に変わってしまう仕組みです。
中国語の標準語(普通話)には4つの基本パターンと軽声があります。



4種類だけなら、練習すればすぐできるのでは?
最も難しいのは、中国語は1文字1文字、全ての漢字に声調が決められていることです。
1つの漢字に複数の読み方がある場合は、意味や品詞によっても声調が変わります。
日本語にも「柿」と「牡蠣」のようなものがありますが、大半は多少アクセントが違っても問題なく意思疎通できますよね。
一方、中国語は声調言語なので、声調を間違えると途端に通じにくくなってしまいます。
私たち日本人は一般的に「正しいアクセントを覚える」という習慣がなく、「音の高低の重要性」を意識していないため、中国語の声調を覚えるのに非常に苦労するのです。
発音(2)日本語にない「有気音・無気音」の区別
中国語には「有気音」「無気音」という息の出し方による発音の区別があります。
これは日本語にはない概念で、日本人には同じに聞こえたり、真似して言っているのに「違う」と言われたりします。
例えば日本語の「た」と「だ」は清音と濁音で区別します。
ところが、中国語の「ta」と「da」は息の強さで区別するのです。
日本人にはなじみのない区別のため、意識的なトレーニングが必要です。
◎ 有気音と無気音については、別記事で詳しく解説しています。
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発音(3)舌の位置が複雑な「そり舌音」の再現
中国語学習者の最初の難関とも言えるのが ch / zh / sh / r で表される「そり舌音」です。
舌先をスプーンのように丸めて上あごに近づける独特の音です。
日本語には存在しない動きのため、私たちはついカタカナのような発音になってしまいがちです。
しかし、カタカナ発音ではネイティブには「全く別の音」として聞こえてしまいます。
実際に正しい「そり舌音」を練習すると、舌や口の筋肉がとても疲れます。
これは、中国語と日本語は舌や口周りの筋肉の使い方が違うためです。
舌の位置を鏡で見ながら何度も練習し、スポーツのように身体で覚えてしまうのが習得の近道です。
発音(4)母音と子音の組み合わせが覚えにくい
中国語の発音はアルファベットを使って表記します。
例えば、おなじみの「ニーハオ」(こんにちは)は、「nǐ hǎo」と書きます。
この表記方法は「ピンイン」と呼ばれています。
ここで厄介なのが、アルファベットを使っているのに、日本語のローマ字とも英語とも読み方が違う点です。



あなたは「xi」と見たら、どの音を想像しますか?
「qu」や「e」は?
「xi」は「シ」に近い発音です。
「qu」や「e」はもはやカタカナでは表せない音です。
そして、中国語は子音と母音の組み合わせが約400もあり、日本語のローマ字よりもはるかに多いです。



そんなに覚えれません!



安心してください。発音の覚え方については別記事で紹介していますよ。
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挫折を防ぐ中国語学習の攻略法


「中国語は挫折しやすい」と言われることもありますが、その原因のほとんどは「間違った順序」で学習しているからです。
いきなり漢字だけを見ていませんか?
カタカナで読み方を書いていませんか?



中国語学習で最も大切なのは「発音」です。
学習初期に発音の基礎を固めれば、後の文法やリスニングもぐ〜んと伸びが変わってきます。
攻略法(1)学習初期は発音練習だけに一点集中する
最初は「声調」と「ピンイン」だけに一点集中するのが正解です。
「会話は必要ないから中国語の文が読めればいい」という方もいるかもしれません。
しかし、読み方が分からない文は非常に覚えにくく、学習の効率が悪くなってしまいます。
また、日本語の読み方やカタカナで覚えた発音は、会話が必要な時に「全然通じない」「何も聞き取れない」という大変残念な結果が待っています。
「あいうえお」から日本語を学ぶのと同じように、中国語も最も基礎となる「声調」と「ピンイン」から始めましょう。
攻略法(2)聞く→発音する→録音してチェック
独学の最大の問題点は、「自分の発音が合っているかわからないこと」です。
自分では正しく言っているつもりでも、ネイティブに通じないことが多々あります。
発音練習は、音声を聞いて真似して言う練習をしたら、録音して自分で聞いてみましょう。
客観的に聞くことで、「お手本とはなんだか違う」と、気づくことができます。
学習初期の発音だけプロの指導を受けるのもおすすめです。
攻略法(3)短時間でも毎日中国語に触れる
時間のある時や、やる気のある時だけの勉強は、なかなか学習内容が定着せず、「やっても覚えられない」「全然上達しない」とモチベーションが低下してしまいます。
でも、毎日机に向かって何時間も勉強するのは続けにくいですよね。



まずは1日10分から始めてみましょう。
朝活の10分、通勤電車の中、夕食後の10分など、生活の中にうまく組み込むことがポイントです。
人間は使わないと忘れてしまいます。
短時間でも毎日触れることが、学習効率アップにつながります。
攻略法(4)検定試験を指針に常に進歩を実感する
終わりのないマラソンは辛いですが、次の電柱までなら走れますよね。
語学も同じで、細かくゴールを設定することが継続のコツです。
- 中国語には「HSK(漢語水平考試)」という世界共通の検定試験があります。
実際の試験を受けなくても、HSK公式サイトのレベルチェックテストや模擬問題で実力を試すことができます。
「3ヶ月後にHSK2級合格」といった具体的な目標を立て、ゲーム感覚でクリアしていきましょう。
進歩を実感できると、「もっと頑張ろう!」と意欲も向上しますよ。
まとめ


中国語は発音に高い壁がありますが、そこさえ乗り越えれば、私たち日本人には「漢字」という強みがあります。
英語圏の人々がゼロから覚える漢字を、私たちはショートカットすることができるのです。
まずは今日から、アプリをダウンロードしたり、ピンインの音を聞いてみたりすることから始めてみませんか。



その小さな一歩が、将来のキャリアや人生の可能性を大きく広げるきっかけになるはずです。
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