中国留学はやめとけ？｜後悔する人と成功する人の大きな違い

確かに、中国留学にはインターネット規制や生活環境、言語の壁など、覚悟が必要な現実があります。

でも、ちょっと待ってください。

実は「やめとけ」と言われる理由の裏側には、きちんと対策すれば回避できるリスクと、準備次第で大きな成長に変えられるチャンスが隠れています。

この記事では、中国留学において事前に知っておきたい現実、中国留学に向いている人の特徴、中国留学で得られる貴重な経験例を紹介します。

「行く」vs「行かない」、どちらを選択しても後悔のない決断にしましょう。

「中国留学はやめとけ」と言われる理由とは？

まず、中国留学が「やめとけ」と言われる具体的な理由を6つ紹介します。

これから中国留学を考えている人は事前に現実を理解しておきましょう。

• 理由（1）インターネット規制による不便さ
• 理由（2）中国語は意外と難しい
• 理由（3）寮や生活環境の厳しさ
• 理由（4）「留学しただけ」では武器にならない就職活動
• 理由（5）大気汚染や衛生面の課題
• 理由（6）複雑な日中関係と安全への配慮

理由（1）インターネット規制による不便さ

中国では「グレート・ファイアウォール」と呼ばれるインターネット規制があり、Google、LINE、Instagram、X（旧Twitter）、YouTubeなど、日本で当たり前に使っているサービスが利用できません。

これらは娯楽だけでなく、家族との連絡や授業の調べ物にも欠かせないものです。

VPN（仮想プライベートネットワーク）を使えばアクセスできる場合もありますが、政治的に重要な時期（国慶節や共産党大会など）には接続が不安定になりやすく、VPNの使用自体が法的にグレーゾーンとされています。

急に日本にいる家族と連絡が取れなくなったら、自分も不安ですし、家族も心配しますよね。

こういう事態を回避するためには、留学前に日本で信頼できる有料VPNを契約し、スマホやパソコンなどに設定しておくとともに、中国で使える代替手段を確保しておくことが大切です。

理由（2）中国語は意外と難しい

「英語は苦手だから、中国語を選んだ」という方は少々注意が必要です。

確かに、中国語は漢字なので、日本人にとって親しみやすい面があります。

しかし、中国語はあくまで「外国語」なので、発音も文法も日本語とは異なります。

中国語の基礎がほとんどないまま「行けば何とかなる！」と渡航すると、授業についていけないだけでなく、日常生活でもストレスを感じやすくなります。

特に発音は日本語より複雑で、「通じない」「発音が変で笑われた」という場面が往々にしてあります。

「英語ができないから」「中国語は簡単そうだから」という安易な理由での中国留学は、思ったように中国語を習得できず大きな壁にぶつってしまう可能性があります。

「なぜ中国語を学ぶのか」その目的を明確に持つことが大切です。

理由（3）寮や生活環境の厳しさ

中国の大学寮での実生活は、パンフレットやSNSの写真と異なることがあります。

衛生観念や生活習慣が違う学生と同室になることもあり、トラブルになったりストレスを感じたりするケースも少なくありません。

「掃除の分担をめぐって口論になった」「料理禁止のはずなのにルームメイトが自炊していて、部屋が臭くなった」といった体験談もあります。

また、水や食事の違いで体調を崩す人も多く、最初の1週間はお腹を壊す留学生もいます。

渡航前にSNSやブログでその大学に通う日本人留学生を探し、寮の写真や実際の生活環境を確認しておくと安心です。

寮選びでは、次のチェックポイントを特に確認しましょう。

チェック項目	確認内容
水回り	トイレ・シャワーの清潔さ、水圧があるか
部屋の設備	冷暖房、冷蔵庫、Wi-Fi環境
ルームメイト	国籍構成、生活リズムの違い

理由（4）「留学しただけ」では武器にならない就職活動

中国留学経験者が新卒の就職活動で求められることは、留学経験を通じて培った具体的なスキルと、それを活かすポテンシャルです。

単に「中国に留学した」という事実だけでなく、そこで「何を得て」「どのように成長したか」を明確にアピールすることが重要になります。

中国留学経験者が企業から高く評価されやすい主なポイントは以下の通りです。

文化や価値観の異なる人々と協力し、信頼関係を築き、問題を解決した経験、新しい環境に飛び込み、適応しようとした行動力、変化を受け入れる柔軟性などを、具体的エピソードを交えて論理的に伝える工夫が必要です。

理由（5）大気汚染や衛生面の課題

PM2.5による大気汚染は、特に北部の都市で深刻です。

2024年冬の北京では、大気質指数（AQI）が300を超える「非常に不健康」レベルの日が複数回記録されています。

出典：北京環境監測センター公式データ https://www.bjmemc.com.cn

また、地域にもよりますが、日本ほど清潔ではない場所も珍しくありません。

そして、医療システムにも注意が必要です。

現地の一般病院は予約金が必要で、受診システムの違いや、言葉の壁に悩まされることがあります。

日本語や英語が通じる外資系クリニックもありますが、治療費が日本と比べて高額になりがちです。

留学前にはA型・B型肝炎の予防接種や歯科治療を済ませ、水道水は直接飲まず、ミネラルウォーターを買うなどの基本的な衛生対策を徹底しましょう。

理由（6）複雑な日中関係と安全への配慮

日常生活で危険を感じることはほとんどありませんが、歴史的な記念日や日中関係が悪化している時期には注意が必要です。

2024年9月には深圳で日本人学校の生徒が襲われる痛ましい事件が発生しました。

9月18日（柳条湖事件の記念日）など歴史的に敏感な時期には、言動や発言に注意するなどの配慮が大切です。

普段は過度な心配は無用ですが、留学中は「安全は自分で守る」という意識を持ち、周囲の情報に常に注意を払いましょう。

外務省等、公的機関の情報確認も必須です。
>>>外務省 海外安全ホームページ｜海外留学／海外修学旅行
>>>たびレジ・在留届共通

中国留学で後悔した人の失敗例

前の章で見た「やめとけ」と言われる理由は、具体的にどのような「後悔」に繋がるのでしょうか。

この章では、留学生が陥りがちな失敗パターンを4つのケースに分けて紹介します。

あなたならどう乗り越えるか、シミュレーションしながら読んでみてくださいね。

• 失敗例（1）語学力不足で授業についていけない
• 失敗例（2）文化ギャップで精神的に疲弊する
• 失敗例（3）日本人コミュニティに依存し、成長の機会を逃す
• 失敗例（4）目的が曖昧なまま渡航し、留学経験を語れない

失敗例（1）語学力不足で授業についていけない

「中国に行けば自然に中国語が身につく」と楽観視し、ほとんど準備せずに渡航した結果、最初の数週間で心が折れてしまうケースです。

語学留学生向けの授業でさえ、多くは基礎知識があることを前提に進められます。

語学力ゼロで渡航した学生は、レベル分けテストで一番下のクラスになり、授業が全く理解できない現実に直面します。

周りの学生が楽しそうに会話している中で、自分だけが取り残されているような感覚に陥り、次第に学習意欲そのものを失ってしまうのです。

失敗例（2）文化ギャップで精神的に疲弊する

文化や生活習慣の違いにうまく適応できず、精神的に疲弊してしまうパターンです。

例えば、日本では当たり前の「静けさ」や「列に並ぶ習慣」が、中国の全ての場所で共有されているわけではありません。

こうした違いを「良い・悪い」で判断し、「なぜ日本の常識が通じないんだ」と不満を溜め込んでしまうと、現地での生活を楽しむ余裕がなくなってしまいます。

失敗例（3）日本人コミュニティに依存し、成長の機会を逃す

慣れない環境での不安から、つい日本人留学生とばかり行動を共にしてしまうケースです。

もちろん、同郷の仲間は心強い存在ですが、そのコミュニティの中だけで生活が完結してしまうと、中国語を話す機会が激減し、何のために留学したのか分からなくなってしまいます。

また、日本人特有の控えめな態度は、中国の環境では「何を考えているか分からない」と受け取られ、現地学生との間に壁を作ってしまうこともあります。

人間関係の失敗を避けるためには意識的に日本人グループから離れる時間を作り、大学のサークルや地域の言語交換イベントに1人で参加する勇気が必要です。

完璧な中国語を話そうとせず、まずは笑顔で挨拶し、簡単な質問から始める積極性を持ちましょう。

失敗例（4）目的が曖昧なまま渡航し、留学経験を語れない

「留学経験が欲しい」「中国語が話せたら有利かも」といった漠然とした動機で留学し、帰国後の就職活動で苦労するケースです。

面接で「留学で何を成し遂げましたか？」と問われた際に、「中国語を勉強しました」という答えしか出てこず、他の学生との差別化ができません。

留学を「目的」にしてしまうと、現地での行動が受け身になりがちです。

結果として、多額の費用と時間を投資したにもかかわらず、その経験を自分の言葉で魅力的に語ることができず、後悔に繋がります。

それでも中国留学に向いている人とは？

ここまで紹介してきたように、中国留学にはインターネット規制や生活環境、言語の壁など、決して軽くはない課題があります。

それでもなお、「行ってよかった」と感じる人たちも少なくありません。

では、どんな人が中国留学に向いているのでしょうか？

ここでは、4つの特徴を紹介します。

• 特徴（1）経済的負担を抑え、学びの機会を最大化したい人
• 特徴（2）「語学＋α」で、他の人と差をつけたい人
• 特徴（3）多文化体験で視野を広げたい人
• 特徴（4）予測不能な環境で、本物の「生きる力」を身につけたい人

特徴（1）経済的負担を抑え、学びの機会を最大化したい人

中国留学の大きな魅力は、欧米への留学に比べて費用を大幅に抑えられる点です。

一般的に、欧米の大学は年間の学費が200万円以上かかるのに対し、中国の大学への語学留学であれば年間30万程度から可能です（学校や地域によって異なります）。

生活費も、バスが1〜2元（約20〜40円）、外食では1食20元（約400円）程の店が多数あり、全般的に日本よりも物価が低めです。

この経済的なメリットは、留学期間を延ばしたり、現地での文化体験や旅行に費用を充てたりと、学びの可能性を広げることに直結します。

奨学金制度を利用すれば、学費・寮費の免除に加え、生活費が支給される奨学金も存在します。

早めの情報収集と準備がおすすめです。

◎中国留学の費用については別記事で詳しく解説しています。
>>>中国留学の費用を大公開！経験者インタビューあり

特徴（2）「語学＋α」で、他の人と差をつけたい人

世界第2位の経済大国である中国の言語と文化を深く理解することは、将来のキャリアにおいて強力な武器になります。

重要なのは、単なる語学力だけではありません。

現地のビジネストレンド、最新のテクノロジー、若者の消費文化などを肌で感じる経験と語学力を掛け合わせることで、「中国に詳しい、代替不可能な人材」としての価値が生まれます。

日本企業の中国展開はもちろん、グローバルな舞台で活躍する上で、この「＋α」の視点が大きなアドバンテージとなるでしょう。

特徴（3）多文化体験で視野を広げたい人

中国留学は急速に発展する巨大な市場と多様な文化を体感できる貴重な機会です。

中国は14億人という世界最大の人口を抱え56の民族が共存する多文化国家です。

北京、上海、深圳といった大都市では最先端のIT技術やキャッシュレス社会が浸透し、一方で地方都市では伝統的な文化や生活様式が色濃く残っています。

このような多様性に触れることで日本では当たり前と思っていたことが、実は1つの価値観に過ぎないことに気づき、より柔軟で広い視野を持つことができます。

留学中は大学と寮の往復だけで終わらせず、積極的に様々な場所に足を運び多様な経験を積みましょう。

中国各地を旅行して地域ごとの文化の違いを体感したり、現地の伝統行事や祭りに参加したりすることでより深い文化理解が得られます。

特徴（4）予測不能な環境で、本物の「生きる力」を身につけたい人

言葉や文化、価値観が異なる環境に身を置く経験は、あなたを精神的に大きく成長させます。

日本では当たり前だったことが通用しない場面で、どうすれば自分の意思を伝えられるか、どうすれば問題を解決できるか。

日々、自分の頭で考え、行動し、小さな成功と失敗を繰り返す過程は、マニュアルのない課題に立ち向かう「生きる力」そのものを鍛えてくれます。

この経験を通じて得られる精神的な強さや問題解決能力は、帰国後の人生においても大きな財産となるはずです。

留学適性セルフチェックリスト

今の自分が中国留学にどれくらいフィットしそうか、簡単なチェックリストで診断してみましょう。

以下の5項目について、直感的に「Yes」か「No」で答えてみてください。

Yesが多ければ適性度高め、Noが多ければハイリスクタイプと診断できます。

ハイリスクタイプの場合は半年から1年かけてNoをYes変えるための具体的な行動計画を立て、準備が整ってから再度判断しましょう。

後悔しないための準備と対策 〜「知って行く」と「考えて動く」で失敗を防ぐ〜

中国留学は、行けば自動的に成長できるものではありません。

環境の違いに戸惑い、思ったように学べないまま帰国してしまう人もいます。

しかし、事前にしっかり準備をすれば、多くのトラブルは防ぐことができます。

この章では、出発前にやっておきたい4つの対策を紹介します。

万全の準備で、後悔のない留学を実現しましょう。

• 対策（1）「ゼロからのスタート」を避ける語学準備
• 対策（2）安全で安定したネット環境を確保する
• 対策（3）留学の目的を明確にする
• 対策（4）信頼できる留学エージェントを選ぶ

対策（1）「ゼロからのスタート」を避ける語学準備

渡航前の語学準備は、留学の質を大きく左右する重要項目です。

日本にいるうちに、発音・リスニング・語彙力の基礎をしっかり固めましょう。

目標は、現地に着いてすぐに「学ぶ楽しさ」を実感できるレベルに到達することです。

中国留学を考える多くの人は、中国語の単語や文法を多少なりとも学んだ経験があるはずです。

しかし、「見れば意味は分かるけど、読めない」「知っているのに話せない」ということありませんか？

これは、読み書きに偏った学習が原因です。

ご存じの通り、中国語は発音（ピンイン）と声調（四声）によって意味が変わります。

留学前には、HSK3〜4級レベルが「言えて聞き取れる」ことを目指しましょう。

授業が理解しやすくなり、買い物・食事・友人との会話など、到着直後の生活が向上します。

対策（2）安全で安定したネット環境を確保する

中国では、Google、LINE、Instagram、X、YouTube、ChatGPTなど日本人が日常的に使用する主要なサービスのほとんどがインターネット規制によりアクセスできません。

中国滞在中の多くの日本人は、VPN（Virtual Private Network）と呼ばれるサービスを利用してこれらにアクセスしています。

しかし、無料VPNには注意が必要です。。

信頼できる有料VPN（NordVPN や ExpressVPNなど）を選びましょう。

また、中国で使われているアプリを事前に用意し、慣れておくと安心です。

• 検索：Baidu（百度）、DeepSeek（AI）
• 翻訳：Baidu Translate（百度翻译）
• 連絡：WeChat（微信）
• 地図：Baidu地図、高德地図
• 決済：Alipay（日本人は日本で使えませんが、中国到着後は使えます）

対策（3）留学の目的を明確にする

中国留学を成功させる最大のポイントは、「目的を持って行くこと」です。

「とりあえず中国語を上達させたい」という動機だけでは、途中で学習意欲が下がってしまうことがあります。

• 何のために中国語を学ぶのか？
• どんな経験を得たいのか？

この2点を明確にしておくことで、留学生活の方向性がぶれなくなります。

教育部直属の中国語教育機関「中外言語交流合作センター（CLEC）」の調査（2024年）でも、目的を明確にした留学生は、語学の伸びや満足度が高い傾向があると報告されています。

出典：CLEC『2024年国際中文教育発展報告』 https://www.chinese.cn

「中国語を学ぶこと」自体は手段にすぎません。

本当の価値は、「中国語を使って何を学び、どんな人と出会い、どう成長するか」にあります。

目的を明確にし、行動を記録しながら軌道修正していけば、中国留学は単なる勉強期間ではなく、自分の視野を広げる貴重な経験になるでしょう。

対策（4）信頼できる留学エージェントを選ぶ

留学エージェントは心強いパートナーになり得ますが、選び方を間違えると後悔の原因にもなります。

良いエージェントを見極めるポイントは「透明性」と「誠実さ」です。

以下のようなエージェントは要注意です。

可能であればそのエージェントを実際に利用した先輩留学生の声を探し、評判を確認するのも安心材料になります。

まとめ

中国留学には、確かにハードルがあります。

インターネット規制、生活環境の違い、文化のギャップ・・・。

しかし、それらを理解した上で準備し、目的を持って行動すれば、留学は「困難」ではなく「成長の機会」になります。

本記事で解説した通り、失敗する人は目的が曖昧なまま渡航し、成功する人は明確な目標と対策を持っています。

中国留学は、語学を学ぶための時間ではなく、不安を知り、準備し、行動する。

その積み重ねが、あなたを「留学してよかった」と胸を張れる未来へ導いてくれます。