【話せる】中国語習得にかかるリアルな時間｜旅行・日常会話・ビジネス

学習を始める前に、誰もが気になる疑問です。

HSKなど中国語の検定には各級の目安となる内容が書かれていますが、試験に合格することと、実際にその内容を話せることは性質が異なります。

試験は知識量を測るもの、会話はその知識を瞬時に口から出して、相手の話を聞き取る力です。

つまり、同じ「習得」でも必要な時間は大きく変わります。

この記事では、初級者の方に向けて「中国語で会話できるようになるまでに必要な時間」をレベル別に解説します。

あわせて、習得時間を短縮するコツも紹介します。

話せる自分を想像しながら中国語学習を楽しみましょう！

中国語習得に必要な時間はどのくらい？

中国語を習得する時間は、学習スタイルや環境によって個人差がありますが、目安となる時間を知っておくとゴールが見えやすくなります。

アメリカ国務省FSI（Foreign Service Institute / 外交官養成機関）のデータでは、中国語の習得には約2200時間が必要とされています。

ただしこれは「英語を母語とする学習者」の場合です。

日本人はすでに漢字に親しんでいるため、同じ内容を学ぶのに有利な点が多く、実際にはもう少し短縮できるケースが多いです。

次の章では、旅行・日常会話・ビジネスといったレベルごとに、会話習得に必要なおおよその時間を紹介します。

レベル別：話せる中国語習得にかかる時間の目安

それではさっそく、目標とするレベル別に習得にかかる時間を見ていきましょう。

• 旅行で困らないレベル
• 日常会話レベル
• ビジネスレベル

旅行で困らないレベル（150〜300時間）

旅行で使う中国語は、「你好（こんにちは）」「谢谢（ありがとう）」「这个多少钱？（いくらですか？）」といった、あいさつ・数字・簡単なフレーズが中心です。

HSK2級程度の知識がベースで、試験そのものは第二外国語で1年間の学習（90時間）が目安です。

早い人だと2～3か月で合格する人もいます。

ここで難しいのは、自分がいくら必要なフレーズを覚えても、会話でネイティブの言う返事を聞き取れないことです。

中国を初めて訪れた日本人のKさんは、「地下鉄の駅はどこですか？」と一生懸命練習した中国語を言ってみました。相手の方は親切に教えてくれたものの、何を言っているのかさっぱり聞き取れず、右往左往したそうです。

旅行会話で150〜300時間も必要なの！？と思うかもしれませんが、「困らない程度」になるにはそのくらい見積もっておいた方が安心です。

でも、そんなに待っていたらなかなか旅行に行けないですよね。

今は便利な翻訳アプリもあるので、実際のところはどうにかなります。

覚えた言葉を1つでも2つでも使ってみることを目標に旅行を楽しみましょう。

日常会話ができるレベル（600〜1000時間）

「中国語で友達と気軽におしゃべりできるようになりたい」――多くの学習者が目指すのが、この日常会話レベルです。

買い物や旅行先でのやり取りだけでなく、ちょっとした世間話や、仕事での簡単なやり取りもできるようになります。

ただし、ここに到達するには思った以上に練習が必要です。

なぜなら、日常会話は話題の幅がとても広く、教科書の例文だけでは足りないからです。

自分の考えや気持ちを表現するためには、語彙や文法の知識に加えて、相手の言葉を聞き取るリスニング力と、伝わる発音が欠かせません。

必要な学習時間は、目安として600〜1000時間です。

毎日1時間勉強したとして、約2〜3年かかる計算です。

この段階では、HSK3〜4級レベルの知識が土台になりますが、試験に合格することと、実際に会話できることは別問題だと思っておきましょう。

机の上だけの勉強にとどまらず、実際に声に出して話す練習を取り入れることで、ようやく「伝わる中国語」が身についていきます。

焦らずコツコツ続ければ、友達と笑い合いながら中国語で会話している自分に出会えるはずです。

ビジネスで使えるレベル（2000時間以上）

ここから先は「仕事で中国語を武器にする」ステージです。

会議で自分の意見をしっかり伝えたり、電話やメールで取引先とやり取りしたりするためには、高度な語彙力と瞬時に表現できる力が求められます。

必要な学習時間はおよそ2000時間以上です。

これはアメリカのFSIのデータ（約2200時間）ともほぼ一致していて、日本人が到達する目安としても現実的な数値です。

ここで大事なのは日常会話レベルと同様に「試験に合格すること」だけではないことです。

文法や語彙を知っていても、実際のビジネスシーンではテンポよく対応できなければ通用しないのです。

母国語の日本語であっても、会議でうまく発言できなかったり、電話対応が苦手だったりしますよね。

これが中国語となるとなおさらです。

例えば、ネイティブと模擬会議をする、商談ロールプレイを繰り返す、電話対応のフレーズを瞬時に言えるように訓練する、こうした実践練習を積み重ねることで、ようやく「知識」が「使える中国語」に変わっていきます。

このレベルは誰でも簡単に到達できるものではありません。

でも、もしあなたが「中国語を仕事で活かしたい」「キャリアの選択肢を広げたい」と思っているなら、2000時間の学習は決して遠い未来ではありません。

コツコツと積み上げた努力は、必ず実践で花開きます。

短期間で中国語を習得する勉強法

誰だってなるべく早く話せるようになりたいですよね。

この章では、日本人が中国語の習得時間を短縮する4つのポイントを解説します。

• 発音（声調とピンイン）を最初に固める
• インプットとアウトプットをバランスよく
• スキマ時間を活用して毎日中国語に触れる
• 会話練習を早い段階から取り入れる

発音（声調とピンイン）を最初に固める

中国語は声調（4種類の音の高低）とピンイン（発音表記）が学習の土台です。

中国語は声調言語なので、例えば同じ「マ」と聞こえる音でも、声調によって「お母さん」の意味になったり「馬」の意味になったりします。

「お母さんがご飯を作ってくれた」と言いたいときに、「馬がご飯を作ってくれた」と言ってしまっては大変ですよね。

また、中国語は日本語より母音や子音の数が多く、日本人にとっては言いにくい発音がたくさんあります。

「中国語＝漢字」というイメージから日本人にとっては親しみやすい反面、発音をおろそかにしてしまうと、「話した言葉が全く通じずサッパリ聞き取れない」という大きな壁にぶつかります。

初級のうちに声調とピンインを徹底的に練習することが、後の大きな学習効果につながります。

インプットとアウトプットをバランスよく

語学の勉強というと、教科書を読んで、単語や文法を覚えて、練習問題をこなす――そんな学習を思い浮かべる人も多いと思います。

でも、実はそれだけでは「知っているけれど話せない」という状態になりがちです。

中国語を身につけるには、インプットとアウトプットの両方が欠かせません。

・インプット（聞く・読む）：知識を増やす
・アウトプット（話す・書く）：実際に使える力をつける

この両方をバランスよく組み合わせることで、会話習得はぐんとスピードアップします。

特に初級のうちは、お手本を聞いて声に出して読む音読 や、ネイティブの音声をまねして発音するシャドーイング がとても効果的です。

「読む・聞くだけ」「覚えるだけ」ではなく、実際に声に出すことで、頭の中の知識を口から出せる中国語に変えていきましょう。

スキマ時間を活用して毎日中国語に触れる

中国語を習得するうえで、最も効果的なのは「毎日少しでも触れること」です。

休みの日だけまとめてたくさん勉強するよりも、毎日15分でもコツコツ続けるほうが記憶に定着しやすくなります。

例えば、このような工夫ができます。

• 通勤中や休憩時間に中国語学習アプリをやる
• 夕食後、お風呂までの時間にYouTubeの中国語学習動画を見る
• 寝る前に中国語で3行日記をつける

ポイントは、日々の生活の中に取り入れることです。

卓球元オリンピック選手の石川佳純さんも、テレビの「どうやって中国語を勉強したんですか？」というインタビューに、「勉強と思うとなかなかできないので、友達と中国語でチャットをしています。」と答えていました。

このように「勉強している」という気負った感覚がないまま、自然に中国語を身につけられたらステキですよね。

毎日少しずつでも中国語に触れる習慣をつけていきましょう。

会話練習を早い段階から取り入れる

こう思う人は多いですが、実は単語が少なくても会話練習は十分可能です。

学んだ表現はすぐに使ってみましょう。

オンラインレッスンや言語交換を活用すれば、初級でも短いフレーズから会話に挑戦できます。

あいさつを覚えたらあいさつをしてみる、自己紹介を覚えたら自己紹介を言ってみる、そこから趣味の話や食べ物の話など、自分の言いたい単語を調べて話を膨らませていくことも可能です。

実際に口に出して使うことで、頭の中の知識が自然に記憶に定着し、「話せる中国語」に変わっていきます。

逆に、話す練習を後回しにしてしまうと、教科書の知識はどんどん難しい内容になっていき、読める内容と話せる内容の間に大きなギャップができてしまいます。

はじめは「主語＋動詞」の2語でも十分です。

「話す」ことそのものに慣れていきましょう。

習得時間を短縮するための心構え

中国語の会話を身につけるには、ある程度の時間が必要です。

しかし、学習のやり方次第でその時間をぐっと短くすることもできます。

ポイントは次の3つです。

1. 完璧を目指さず、間違えてもとにかく口に出す
   間違いを恐れて話さないと、会話力はなかなか伸びません。まずは声に出して使ってみることが大切です。
   
2. 学習を「イベント」ではなく「習慣」にする
   週に1回まとめて勉強するよりも、毎日少しずつ触れる方が効果的です。生活の中に自然に組み込むことで、無理なく継続できます。
   
3. モチベーションを維持するために、小さな達成感を積み重ねる
   1日5分の自己紹介練習や、新しいフレーズを1つ覚えた達成感でもOK。小さな成功体験が、次の学習の原動力になります。

「効率のよい勉強法」と「継続」の両方を意識することが、最短で中国語会話を習得する秘訣です。

焦らず、少しずつ積み重ねていきましょう。

まとめ

• 旅行で困らない：150〜300時間
• 日常会話ができる：600〜1000時間
• ビジネスで使いこなす：2000時間以上
  

HSKなどの試験には比較的短期間で合格できるケースもありますが、「会話力」をつけるには＋αの練習が欠かせません。

特に、最初に発音をしっかり固めること、そして毎日少しでも口に出す練習を積み重ねることが、習得時間を短縮する最大の近道です。

最初はぎこちなくても大丈夫。小さな一歩を続けるうちに、「思ったことが自然に口から出てくる瞬間」が必ずやってきます。

あなたも今日から、その一歩を踏み出してみませんか？

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